妊娠中のアセトアミノフェンで子供の7歳時の行動障害リスク上昇

アセトアミノフェンは作用の穏やかな解熱鎮痛剤で、妊娠中にも安全に使用できる薬として知られてきました。特に、妊娠中の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用は禁忌とされているため、アセトアミノフェンは発熱や疼痛のある妊婦に対する第一選択薬として広く利用されています。

英国の妊婦7,796人を対象にアセトアミノフェンの行動障害リスクを検討

ところが今回、英ブリストル大の研究チームにより、そんなアセトアミノフェンの妊婦への使用により、子どもが7歳になった時点での行動障害リスクを高める可能性があるとの報告がなされました。

研究チームは、過去に実施した調査研究に登録された英国ブリストル在住の妊婦 7,796人とその子ども、及び妊婦のパートナーの情報を分析し、子どもの行動障害と妊娠中の母親のアセトアミノフェンの使用、分娩後のアセトアミノフェンの使用、さらに母親だけでなくそのパートナーのアセトアミノフェン使用との関連を検討しました。

子どもの行動障害を5つの要素について判定

子どもの行動障害の判定は、子どもが7歳の時点で、情緒面の症状、行為障害、多動症状、仲間関係の問題、向社会性の5つの要素について、0~10のスコアで採点する質問票により行われました。

その具体的な分析結果は次の通り。

アセトアミノフェンを使用しなかった妊婦の子と比べた、使用あり妊婦の子の行動障害のリスク比は、妊娠18週時点では総スコアが1.16(95%信頼区間0.97-1.0)で有意ではなかったが、スコア4以上の行為障害(リスク比1.20、1.06-1.37)と、スコア7以上の多動症状(リスク比1.23、1.08-1.39)は上昇していた。

妊娠32週時点のアセトアミノフェン使用は、総スコア1.46(1.21-1.77)、情緒面の症状1.29(1.09-1.53)、行為障害1.42(1.25-1.62)、多動症状1.31(1.16-1.49)の4項目にリスク上昇が見られた。

つまり、妊娠後期でのアセトアミノフェンの使用により、子どもの行動障害リスクが 1.46倍と顕著に上昇すること。妊娠中期でのアセトアミノフェン使用によっても、総スコアこそ有意なリスク上昇は見られなかったものの、行動障害と多動症状のスコア上昇が確認されたわけです。

ちなみに、分娩後の母親のアセトアミノフェン使用によるリスク上昇は見られませんでしたが、母親のパートナーのアセトアミノフェン使用は、子どもの行動障害スコア上昇との関連が認められたようです。

妊婦にとって確実に安全な解熱鎮痛剤など存在しない

とは言え、アセトアミノフェンの使用が、なぜ子どもの行動障害リスク上昇に繋がるのかについては、現時点ではまだよくわかっていません。今後もさらなる研究により、今回の研究結果の再現性の確認と、作用機序の解明が必要ではありますが、少なくとも妊娠中のアセトアミノフェンの使用は、生まれ来る子どもの行動障害リスクを上昇させる可能性があるとの認識は必要のようです。

最後に、アセトアミノフェンは「カロナール」など、医師により処方される薬だけではありません。アセトアミノフェン単一成分の市販薬としては「タイレノールA」や「ラックル」など、それ以外にも「ノーシン」や「ハッキリエースa」、「バファリン」の一部などアセトアミノフェンを含むものも多数ありますので、もしも妊娠中に発熱や頭痛などがある場合は、安易に市販薬に頼らず、医療機関を受診すべきだと言えます。

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category : 妊婦さん

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