アミロイドβの蓄積をほぼ完全に除去!アルツハイマー新薬「アデュカヌマブ」の驚くべき治験結果

「アミロイドβがアルツハイマー病の原因」は誤り?

認知症全体の半分以上を占めるとも言われるアルツハイマー病は、一旦発症してしまうと、現在の薬物治療では病状の進行を遅らせることができるだけで、残念ながら根本的な治療法は未だ確立していません。

このアルツハイマー病は、長らくの間、アミロイドβと呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積することを発端に、神経細胞が次々と死滅し、やがて脳が萎縮することにより発症すると考えられてきました。

これまで世界中の研究者達は、この仮説に基づいて、脳内に蓄積したアミロイドβを標的にした新薬の開発を進めてきましたが、長らく期待される研究成果は得られず、いくつかは臨床試験に進むも、最終的にはことごとく失敗に終わっていました。

最近では、これまで多くの研究者に支持されてきた、上記の「アミロイドβ仮説」自体が誤りであったのではないか・・・との意見も多く聞かれるようになっていました。

月1回の接種でアミロイドβの蓄積をほぼ完全に除去

ところが今回、米バイオジェン社とスイス、チューリヒ大学の研究チームは、バイオジェン社が開発したアミロイドβを標的とする新薬” アデュカヌマブ ”を用いた臨床試験で、初期のアルツハイマー病患者の脳内に蓄積したアミロイドβを除去し、実際に認知機能低下の進行を減速させる効果を確認したと発表しました。

研究チームは、初期のアルツハイマー病患者165人を対象に、被験者を2つのグループに分けた上で、それぞれに新薬” アデュカヌマブ ”とプラセボ(偽薬)を月1回の頻度で接種し、この治療を1年間続けました。

その結果、抗アミロイドβ抗体” アデュカヌマブ ”の投与量が多い患者ほど、脳内のアミロイドβを減らす効果高いことを確認。しかも、最高用量を投与した患者では、脳内のアミロイドβの蓄積がほぼ完全に除去されていたのだとか。

アミロイドβ仮説を裏付ける可能性も

今回の臨床試験はまだ初期段階で、薬剤の有効性を調べることが目的ではなかったものの、” アデュカヌマブ ”による治療を施した患者で、認知機能低下の進行を緩やかにする効果も確認されたと言います。

このことはつまり、脳内に蓄積したアミロイドβの除去により、認知機能低下の進行が減速したわけですから、前述したアミロイドβの蓄積がアルツハイマー病の原因となっているとする「アミロイドβ仮説」を裏付ける可能性があると言えます。

過度の期待は禁物だけど・・・

但し、非常に大きな期待が膨らむ報告ではありますが、これらはあくまで初期段階の臨床試験の結果に過ぎないことに注意が必要です。実際、これまでにも初期段階では有望な結果を示したにもかかわらず、最終段階の臨床試験で期待外れの結果に終わった抗体は少なくありませんから・・・

また、アデュカヌマブには脳への水分蓄積や頭痛などの副作用が確認されており、今回の治験でも20人の被験者が、脳浮腫や頭痛などの副作用のために試験を中止しているようです。

今後もさらなる検証を重ねる必要はありますが、少なくとも今回の研究成果は、これまで症状の進行を遅らせることしかできなかったアルツハイマー病に対して、根本的治療法の確立が実現する可能性を垣間見せてくれたと言えますね。

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category : 認知症・アルツハイマー病

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