鯨肉の”バレニン”がアルツハイマー病を予防し、改善する可能性を確認

鯨の筋肉(赤身肉)に豊富に含まれている成分”バレニン”に、現在、認知症患者の約半数を占めるとされているアルツハイマー病を予防し、改善する可能性があることが、マウスを使った研究で示されました。

そもそも鯨は、冷たい南極海で餌を食い溜めした後、赤道付近の暖かい海へ移動し繁殖します。その何千キロもの移動中はもとより、暖かい海で出産をし子育てをしている間は、ほとんど餌を食べることがなく、その後再び餌場である南極海へ戻るまでは、ほぼ絶食状態で活動するのだとか。

鯨がもつ脅威のスタミナの秘密

そんな鯨がもつ脅威のスタミナの源となっている成分が、今回のトピックスの主役である”バレニン”であることが、最近の研究によりわかってきました。

バレニンは吸収率の高い”遊離アミノ酸”の一種で、ペプチドの中でも疲労回復効果や抗酸化力に優れたイミダゾールジペプチドの一つで、近年、多くのアスリートからも注目を集め、その効果が評価されている成分です。

この研究成果は、星薬科大学生命科学先導研究センターの塩田清二特任教授らの研究グループによるもので、今回実施されたマウスを使った研究の概要は次の通りです。

通常の速度で老化が進行する「正常老化マウス」と、通常よりも1.5~2倍程度の老化促進が起こるアルツハイマー病の動物モデルである「老化促進マウス」を用意。

(中略)

正常老化マウスにはバレニンを含まない餌(通常食)を与えた一方、老化促進マウスにはバレニンの粉末を含む餌(バレニン食)か含まない餌(通常食)のいずれかを与え、記憶力や意欲への影響を比較した。

その結果、通常食を与えた老化促進マウスに比べ、バレニン食を与えた老化促進マウスで、記憶力や意欲の低下に対する改善効果が認められました。さらに注目すべきは、バレニン食を与えられた老化促進マウスは、通常食を与えた正常老化マウスと比べても、それと同等、あるいはそれ以上の改善効果が確認されたのだとか。

バレニンは合成できる!

とは言え、現在捕鯨は調査目的で行われているのみです。たとえバレニンがアルツハイマー病の予防や改善に顕著な効果があったとしても、国内で40万人に及ぶとも言われるアルツハイマー病患者が摂取するに足るバレニンを確保することすら難しいと言えます。

しかし、その点は大丈夫!鯨肉に豊富に含まれるバレニンですが、実は合成も可能なのだとか。研究チームによると、年内にもヒトを対象にした臨床試験を開始する予定とのこと。今後の研究に期待しましょう。

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category : 認知症・アルツハイマー病

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