体内時計を制御する脳の神経細胞群を特定!睡眠障害治療に光

人間にはほぼ1日周期のリズムを正確に刻む体内時計が備わっています。しかし、この体内時計の機能は、実は全身の各臓器はもちろんのこと、我々の身体を構成するほぼ全ての細胞に存在しているのです。

その一方で、細胞単位で存在する体内時計とは別に、それら全てを統合し、同期させる”親時計”が存在して初めて、人間は正常な生体リズムを刻むことができるのは言うまでもありません。

そしてその親時計が、脳の視床下部の下にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」と呼ばれる部位にあることは、これまでの研究でわかっていました。

視交叉上核とは?

この視交叉上核は眼球から伸びる視神経を通じて、目から入った光の情報を常に受け取っている部位ですので、たとえば朝、日光を浴びることで体内時計がリセットされたり、いわゆるブルーライトが体内時計に重大な影響を与えるなど、視覚と大きく関連するのはこのためなのです。

ところが、より具体的に、この視交叉上核の中のどの細胞が、体内時計をコントロールているのかについては、これまでの研究ではわかっていませんでした。

親時計をコントロールする脳の神経細胞群を特定!

そんな中、筑波大の柳沢正史教授らの研究チームは、複数のアミノ酸の集合体であるペプチド ”ニューロメジンS” が、この視交叉上核でのみ生み出されていることに着目し、次のようなマウス実験により、体内時計を制御している脳の神経細胞群を特定しました。

マウスの実験で、NMS(ニューロメジンS)を生む神経細胞群の体内時計の働きを止めたり遅くしたりすると、個体の行動リズムもそれに合わせて変化することを確認した。

つまり、視交叉上核の中にあって、ペプチド ”ニューロメジンS” を産生している約40%を占める細胞群こそが、体中の体内時計をコントロールしている”親時計”の本体であることが、今回初めて確認されたわけです。

実は、体内時計の研究はまだ始まったばかりと言っても過言ではなく、最近なにかと話題にのぼる”時計遺伝子”などは、つい最近である1997年に発見されたばかりです。

体内時計についてはまだまだ多くの謎が残されていますが、今回の研究成果が、睡眠障害などの治療に役立つ可能性に大いに期待されています。

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category : 体内時計

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