牛乳に含まれる牛白血病ウイルスが乳がんの原因になる可能性

ヒトにがんを引き起こすウイルスにはB型肝炎やC型肝炎ウイルス、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス、母乳などを介して感染するヒトT細胞白血病ウイルスなどの6種類があるとされています。

牛や水牛などに白血病を引き起こす牛白血病ウイルスは、牛の乳腺細胞にも感染するため、牛乳の中にも存在するウイルスなのですが、これまでの研究では、牛乳を低温殺菌することによってウイルスの感染性は消失すると考えられてきました。

乳がん患者の乳腺組織に牛白血病ウイルスが3倍

ところが今回、アメリカのヒト組織バンクに保管されていた乳がん女性と乳がんでない女性、計239人分の乳腺組織を分析して乳腺細胞の中に存在する牛白血病ウイルスの保有率を比較したところ、乳がんでない女性に比べて、乳がん患者の乳腺組織に牛白血病ウイルスが存在する割合が、約3倍も高いことなどがわかったのです。

乳腺組織内のBLV DNA保有率は非乳がん例に比べ乳がん例で約3倍,有意に高かった(29% vs. 59%,調整後オッズ比3.07,95%CI1.66~5.69,P=0.0004,寄与危険度37%)。前がん病変例におけるBLV DNA保有率は38%と乳がん例に比べて低かったが,非乳がん例に比べて高かった(P for trend<0.001)。

相関性の強さは既知の危険因子に劣らない

乳がんの危険因子には、妊娠・出産歴や家族歴、生活習慣などが指摘されていますが、相関関係の強さだけ見れば、今回の牛白血病ウイルスも、これらの既知の乳がんの危険因子に決して劣るものではないとの見方が示されています。

乳がん予防と言えば、つい先日報告されたオリーブオイルやナッツ類豊富な地中海食に乳がんの初発予防効果が確認されたというトピックスが注目を集めていますが、今後のさらなる研究において、もしも牛白血病ウイルスがヒトの乳がんの原因であることが証明された場合、これまでの乳がん予防の枠組み自体が変わる可能性すらあるようです。

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category : 乳がん

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