がんリスクは細胞の数に比例するのにゾウにがんが少ない理由

先日、がんのリスクは身体の細胞の数に比例しており、身長が高い人ほど細胞の数が多くなることから、必然的にがんリスクも高くなるとする、最新の研究成果をとりあげました。

野生のゾウの平均寿命は約70年と人間と同じ程度の寿命を持ちながら、人間よりもはるかに多くの細胞を持つゾウのがんリスクは、この説からすると人間よりも高くなるはずです。ところが、実はゾウが癌を発症することはほとんどなく、そのことはこれまで長い間謎とされてきました。

今回、アメリカの研究チームにより、ゾウがその遺伝子の中に備えている、がんに対する防御機能の秘密が明らかにされたようです。

ゾウには、腫瘍の形成を抑制するタンパク質「p53」をコードする遺伝子の一部が変化したコピーが38あるが、人間は、この種のコピーを2つしか持っていないという。

これは、ゾウの体が進化の過程で、腫瘍の形成を阻止する遺伝子の追加のコピーを多数作成してきたことを意味する。

さらに研究チームは、ゾウには生まれつき、がん化する危険性がある損傷した細胞を、がん化する前に殺傷するより攻撃的なメカニズムを備えていることも明らかにしました。

つまり、ゾウは遺伝子的に腫瘍の形成を抑制する能力が高いだけでなく、がんの原因となる損傷細胞をいち早く発見し、それを的確に排除する機能を備えていることになりますね。

もしも、ゾウにこのような癌に対する優れた防御機能が備わっておらず、がん発症のリスクが人間と同等だったと仮定した場合、ゾウは途方もない数のがんを発症し、今頃はもう絶滅しているはずの種なのだとか。

今回の研究成果が、何らかの形で人間のがんに対する防御機能を高めたり、これまでとは視点の異なる新たな抗がん治療法の開発に繋がることが期待されています。

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category : がん治療・がん研究全般

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