免疫療法「CAR-T細胞療法」を利用して血液がんを狙い撃ち!多発性骨髄腫を治療する新技術を開発

大阪大の保仙直毅准教授らの研究チームは、現在注目を集めている新しい免疫療法を使って、血液のがんの一種「多発性骨髄腫」を治療することにマウス実験で成功しました。

「多発性骨髄腫」は血液のがん一種で、正常な血液細胞を作れなくなる病気です。近年では新薬の登場により、生存期間は延びるなど効果が出ていたものの、再発しやすいのが課題となっていました。現在国内の患者数は 18,000人に及ぶと推定されています。

今回利用された新たな免疫療法は「CAR-T細胞療法キメラ抗原受容体T細胞療法)」と呼ばれるもので、特定のがん細胞だけを攻撃するよう遺伝子操作した免疫細胞を体外で作製し、増殖してから体内に戻すというもの。

他に治療手段のない「急性リンパ性白血病」の患者を対象とした治験で、患者の7割に長期に渡って生き延びるなどの効果が確認され、今年8月にはアメリカで治療薬が承認されるなど注目を集めていました。

今回、研究チームは、血液細胞の一種ががん化した骨髄腫細胞の表面に、特定のタンパク質「インテグリンβ7」が異常に増えていることに注目。

但し、このタンパク質は正常な血液細胞の表面にもあるため、がん化した骨髄腫細胞の表面に付着したタンパク質にだけ結合し、正常細胞のタンパク質には結合しない抗体を突き止めることに成功しました。

そこで免疫細胞であるT細胞を遺伝子操作して、この抗体の結合部分の特徴を持ったT細胞(CAR-T細胞)を大量に作製して、これを骨髄腫を発症したマウスに投与したところ、次のような実験結果が得られました。

インテグリンβ7を目印にして、がんとくっつくように遺伝子操作したT細胞を骨髄腫のマウス16匹に注射したところ、12匹は60日間生き延びた。注射しなかった16匹は全て40日以内に死んでしまった。

以上のようにマウスを使った実験では良好な結果が得られましたが、まだ正常細胞に全く影響がないかについては確認されていません。

研究チームは今後、サルを使った実験により安全性を確かめ、2019年度にも医師主導による臨床試験をスタートする計画なのだとか。

多発性骨髄腫に対するこれまでの治療とは作用の仕方が全く異なる、日本発の治療法として開発されることが期待されています。

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category : がん治療・がん研究全般

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