特定の高齢女性はカルシウムサプリで認知症リスクが激増する可能性

骨粗しょう症の現状とサプリメント対策

現在、日本の骨粗しょう症患者は総人口の約10%に相当する 1,100万人を超えるとも言われていますが、実はそのうちの約80%が女性で占められており、年齢別に見た場合、50歳以上の女性の4人に1人が骨粗しょう症を発症しているとされています。

骨粗しょう症の予防や治療のためには、カルシウムの摂取が不可欠です。厚生労働省は中高年の1日のカルシウム推奨量を 650~700mgと定めていますが、特に骨粗しょう症患者やその予備軍の人が、予防や治療のために必要なカルシウムの摂取量は1日 1,000~1,500mgにも及びます。

もちろん、これだけ多量のカルシウムを食事からだけで摂取することは非常に難しいため、結果的にカルシウムのサプリメントやカルシウム剤が広く使用されています。

ところが今回、そんなサプリメントによるカルシウム補充を余儀なくされている特定の高齢女性にとって、非常にショッキングな研究結果が発表されました。

カルシウムのサプリメントで認知症リスクが上昇する可能性

スウェーデンのヨーテボリ大学の研究グループは、脳卒中などの脳血管疾患の既往歴のある高齢女性が、サプリメントによりカルシウムを補充する場合、認知症リスクが上昇する可能性があることを明らかにしたのです。

この研究は、認知症のない70~92歳の高齢女性700人を対象としたもので、研究開始時と5年後に、記憶力や思考力などの様々なテストを実施し、その結果を比較・分析して得られたものです。

認知症リスクが脳卒中の既往で7倍、白質病変で3倍に

その結果、サプリメントによりカルシウムを補充していた女性は、そうでない女性に比べて認知症を発症するリスクが約2倍高いという結果が得られました。

ところが、研究チームがデータをさらに詳細に分析したところ、過去に脳卒中を発症したことのある女性では認知症発症リスクが約7倍に、認知症の前段階とも言われる大脳白質病変があり、脳の血流が悪くなっている女性では、同リスクが約3倍に跳ね上がっていることが判明したのです。

逆に、脳卒中の既往や大脳白質病変のない女性に限定した場合は、サプリメントによりカルシウムを補充していた場合でも認知症リスクの上昇は見られなかったのだとか。

つまり、研究当初に判明した、高齢女性のカルシウムサプリメントによる認知症リスク倍増という結果は、脳卒中の既往などの脳血管疾患のある女性の大幅なリスク上昇によるものであったわけです。

現時点で、骨粗しょう症治療の処方が変更されることはない

但し、今回の研究成果は、あくまで過去に実施された観察研究のデータを用いたものであり、そもそも元の研究自体も、カルシウムの摂取量の評価のためにデザインされたものではありませんでした。

また、その解析にはカルシウムサプリメントの使用者が98人しか含まれていない小規模なものであったため、この研究結果を検証するためには、さらなる大規模な研究を実施する必要があるようです。

従って、今回の研究成果をもって、サプリメントによるカルシウムの摂取を避ける方向へ直ちに進むわけではありませんし、骨粗しょう症は高齢者にとっては重大な問題であり、現時点で処方が変更されることはないでしょう。

しかし、骨粗しょう症の予防や治療といった明確な目的なく、ただ何となく健康のために…とカルシウムサプリメントを摂取している人も少なくないはず。そんな人で、脳卒中などの既往がある高齢女性は、この機会にサプリメントによるカルシウム補充の習慣を見直してみるべきかも知れませんね。

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category : 骨粗しょう症

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