透析患者の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療の治験開始

現在、日本には約32万人もの人工透析患者がいるとされています。長年に渡って血液透析療法を受けた場合、どうしても動脈硬化が促進されるため、狭心症や心筋梗塞などの心臓病を合併しやすくなります。

実際、年間約6千人もの人工透析患者が心不全により亡くなっており、その原因の多くを占めるのが大動脈弁狭窄症です。

大動脈弁狭窄症とは?

大動脈弁は、心臓が大動脈を経由して全身に血液を送り出す際に、大動脈から心臓に血液が逆流しないようにようについている、一方向にのみに開く弁です。

大動脈弁狭窄症とは、この大動脈弁が動脈硬化などを原因として硬化することにより、開閉しにくくなり、それによって全身への血流が阻害される病気で、始めは無症状ですが、進行すると胸痛や失神、心不全などの症状を引き起こします。

特に、透析患者の場合、この大動脈弁狭窄症のために人工透析で十分に除水することができなくなることがあり、投薬等では症状の改善が難しく、有効な治療手段としては、大動脈弁置換術と呼ばれる、硬化した大動脈弁を人工弁に取り替える治療法が取られます。

大動脈弁置換術について

大動脈弁を人工弁に取り替える方法としては、人工弁を開胸手術によって取り付ける治療法の他、細く折りたたんだ人工弁を、太ももの太い血管から挿入したカテーテルを使って心臓まで運び、所定の位置で広げて固定するカテーテル治療があります。

開胸手術に加え、2013年10月にはカテーテル治療にも保険適用されることになりましたが、人工透析患者については安全性と治療による効果が未確認のため、保険適用外とされてきました。

人工透析患者の心臓弁カテーテル治療の治験

そして今回、大阪大病院により、人工透析患者の大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療の臨床試験(治験)が、この9月にも開始されることになりました。

この治験は、大動脈弁狭窄症を有する人工透析患者30人に対して、心臓弁カテーテル治療を実施し、その後1年間の経過観察によって、治療の安全性と効果を確認するもので、数年以内の保険適用を目指しています。

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category : iPS細胞

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