家族性高コレステロール血症患者は2型糖尿病リスクが低いことが判明

先日は、高コレステロール血症の治療薬 ”スタチン”が、2型糖尿病の発症リスクを46%も上昇させたとするフィンランドの研究成果について取り上げたばかりですが、今回はオランダより、高コレステロール血症の中でも遺伝的にLDLコレステロール値が高くなる”家族性高コレステロール血症”と2型糖尿病発症リスクに関する最新の研究成果が報告されました。

スタチンが2型糖尿病リスクを上げる理由

血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を、肝臓などの臓器に引き込む働きをしているのは”LDL受容体”で、スタチンはこのLDL受容体を増やして、より多くのLDLコレステロールを臓器に取り込ませることにより、結果として血中のLDLコレステロールを減少させようというお薬です。

一方、スタチン使用に伴う2型糖尿病リスクの上昇は、コレステロールの臓器への取り込みがスタチンにより促進された結果、取り込み先の臓器の一つである膵臓の機能障害をもたらし、インスリン感受性やインスリン分泌を低下させることに起因していると考えられています。

今回、オランダの研究チームにより、このスタチンと2型糖尿病発症リスク上昇に関するこれまでの知見を補強するような新たな研究成果が報告されました。

家族性高コレステロール血症患者は2型糖尿病の発症リスクが低い

現在、日本人の500人に1人程度は、前述のLDL受容体が遺伝的に少ないために、血液中のLDLコレステロール値が異常に高い”家族性高コレステロール血症”の患者だと言われています。

この家族性高コレステロール血症患者とその親族6万人以上を対象とした、オランダの大規模調査研究の結果、家族性高コレステロール血症の患者は、そうでない人に比べて2型糖尿病の発症リスクが有意に低かったことが分かったのです。

しかも、年齢や体脂肪率、善玉コレステロール値、中性脂肪値、心血管疾患などの背景を調整して分析した結果、2型糖尿病発症リスクは約50%も低下していたのだとか。

2型糖尿病罹患率は,家族性高コレステロール血症患者で1.75%(2万5,137例中440例)であったのに対し,同症でない親族では2.93%(3万8,183例中1,119例)であった〔オッズ比(OR) 0.62,95%CI 0.55~0.69,P<0.001〕。

年齢,BMI,HDL-C,トリグリセライド,スタチン使用,心血管疾患,家族関係で調整後の多変量回帰分析の結果,患者群の2型糖尿病罹患率は1.44%,同症でない親族群の罹患率は3.26%となった(OR 0.49,95%CI 0.42~0.58,P<0.001)。

つまり、遺伝子異常によりLDL受容体が少ない家族性高コレステロール血症患者の場合、臓器、特に膵臓細胞へ取り込まれるLDLコレステロール量が少ないために、膵機能障害が起こりにくいからと考えることができ、これは前述の知見を別角度から補強するものであると言えます。

また、今回の研究成果は、家族性高コレステロール血症患者に対して、たとえ小児期や青年期からスタチンによる治療を行ったとしても、その後の糖尿病発症リスクが高くはならない可能性を示しており、糖尿病発症に対する懸念を緩和するものでもあります。

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category : 脂質異常症

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