がん細胞をストレスから守り、その増殖に関わる遺伝子を発見

傷ついた細胞を修復したり、免疫細胞の働きを活性化するなどの驚きのパワーを秘めたタンパク質「ヒートショックプロテイン(熱ショックタンパク質)」は、最近よく耳にするようになりました。

もちろん正常細胞だけでなく、実はがん細胞も常に低酸素や栄養不足といったストレスにさらされており、これまでの研究で、このヒートショックプロテインががん細胞を保護し、がんの発生や悪性化にも関わっている可能性が示されていましたが、その具体的なメカニズムは明らかではありませんでした。

がん細胞をストレスから守るメカニズムを解明

今回、今回、国立がん研究センターの研究チームは、これまでがん化との関連が知られていなかったIER5遺伝子」が、腎臓がんや大腸がん、膵臓がん、胃がん、卵巣がんなど様々な種類のがんで多く発現していることを発見。

さらに、この「IER5遺伝子」が作るタンパク質が、ヒートショックプロテインを誘導する因子「HSF1((Heat Shock Factor 1)」を活性化し、がん細胞をストレスから回復させるヒートショックプロテインが新たに作られることが判明しました。

つまり、これまではがん化との関連についてはノーマークであった「IER5遺伝子」が、がん細胞の増殖に深く関与していることを世界で初めて発見したのです。実際、ヒトのがん細胞を使った実験で、「IER5遺伝子」の働きを抑えたところ、がんの増殖が抑えられたのだとか。

また、膀胱がんや脳腫瘍などでは「IER5遺伝子」が活発に働いている患者は、そうでない患者よりも死亡率が高く、この「 IER5遺伝子 → HSF1 → ヒートショックプロテイン 」という経路が、がんの悪性化や転移などに深く関与している可能性が示されたと言えます。

これまでの研究では、ヒートショックプロテインの働きを阻害するがん治療薬の開発が進められてきましたが、今回の研究成果を応用し、ヒートショックプロテインの上流とも言うべき、この「IER5遺伝子」の働きを阻害する化合物を開発することができれば、より効果の高いがん治療薬の開発に繋がる可能性があります。

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category : がん治療・がん研究全般

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