一般市民による心肺蘇生も心臓マッサージ+人工呼吸で救命率アップ

緊急時の心肺蘇生に関して、昨年、京都大の研究チームにより、一般市民が心肺蘇生を行う場合は、心理的抵抗が強い人工呼吸はせずに、むしろ胸部圧迫による心臓マッサージだけの方が救命数が増えたとの研究結果が発表されました。

蘇生に人工呼吸は必要なく、心臓マッサージだけでも効果あり!

これを受けて、最近では一般市民を対象とした心肺蘇生の講習では、心臓マッサージのみが重視される傾向にあるようです。

人工呼吸の重要性を示す最新報告

ところが今回、金沢大医薬保健研究域の研究チームにより、この心臓マッサージのみによる心肺蘇生よりも、やはり従来の心臓マッサージと人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生の方が、救命率が高まるとの研究結果が発表されました。

これは2007~2012年に国内で発生した病院外で心肺停止状態となった人のうち、一般市民がすぐ近くで目撃していた約19万件のデータを分析した結果です。

より具体的には、救急車の到着まで心肺蘇生が実施されなかった場合に比べて、心臓マッサージだけをした場合の患者の1ヶ月後の生存率(1ヶ月後に脳機能が良好で生存している割合)は1.9倍であったのに対し、心臓マッサージと人工呼吸が行われた場合の同生存率は、2.7倍に高まっていたことが判明したのです。

一般市民が心肺蘇生法を会得しておくことの重要性

但し、これは現場に居合わせた人が、あくまで自発的に心肺蘇生を実施した場合の生存率で、119番の通報の際に、通信司令員より口頭による指導を受けながら心肺蘇生を実施した場合の同生存率は、1.5倍にとどまっていたことも明らかになりました。

近年は、救急車の緊急出動件数は増加傾向にあり、その影響もあって2014年の全国の救急車の到着平均時間は 8.6分でした。これは2001年に比べて2分以上も遅くなっているのだとか。

そんな中で救命率を向上させるためには、日頃から講習などに積極的に参加し、一般市民が心臓マッサージと人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生法を会得しておくこと。そして、いざという時にちゅうちょなく、自発的にこれを実践することが重要であることを、あらためて示した研究成果だと言えますね。

その意味では、講習などを受け心肺蘇生に精通した一般市民を事前に登録しておき、心肺停止が発生した際に、現場にかけつけて初期対応に当たってもらう「ファーストレスポンダーシステム」の普及も、救命率を上げるための方策の一つとして期待されています。

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category : 救急医療

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