痛風がアルツハイマー病リスク低減!尿酸の神経保護作用か

「風に吹かれただけでも痛い」ことからその名がついた”痛風”は、最も一般的な関節炎です。実は日本では明治以前はほとんど見られなかった病気ですが、明治以降、食生活の欧米化により患者が増加し続け、現在に至ってはその患者数は60万人にのぼるとも言われています。

痛風は、肥満症や高血圧、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病と合併しやすく、動脈硬化が進むことにより、心疾患や脳卒中、腎疾患などのリスク因子とされています。

他方、アルツハイマー病の発症リスクも、高血圧や心疾患、脳卒中、糖尿病、脂質異常症など、心臓や血管を破損するこれらの生活習慣病により高まると指摘されています。

つまり、痛風がアルツハイマー病発症のリスク因子である心疾患や脳卒中のリスク因子であるならば、痛風はアルツハイマー病のリスク因子であると考えることができるわけです。

痛風と新規アルツハイマー病発症リスクとの関連

ところが今回、イギリスの一般医における大規模な電子カルテデータベースをもとに、痛風と新規のアルツハイマー病発症リスクとの関連について調査したところ、痛風患者はアルツハイマー病発症リスクが低いことが確認されました。

中央値5年の追跡期間中に,痛風患者5万9,224例(女性29%,平均年齢65歳)のうち309例,対照群23万8,805例のうち1,942例が新規にAD(アルツハイマー病)を発症した。1,000人・年当たりのAD発症率は,それぞれ1.0人と1.5人であった。

Cox比例ハザード回帰モデルによる解析の結果,痛風患者におけるAD発症のハザード比(HR)は,単変量解析(年齢,性,登録時期,BMI一致)で0.71(95%CI 0.62~0.80),喫煙,飲酒,医療機関受診,社会的貧困指数(social deprivation index),合併症,投薬でさらに調整した多変量解析で0.76(95%CI 0.66~0.87)であった。年齢(75歳未満と以上),性,社会貧困指数,心血管疾患既往のそれぞれで層別化したサブグループ解析においても痛風とAD発症との逆相関は維持された。

つまり、追跡期間中に新たにアルツハイマー病を発症した患者数は、痛風患者が年間1000人当たり1.0人だったのに対して、痛風でない患者はその1.5倍の1.5人であったこと。

さらに、喫煙や飲酒、社会的貧困指数など、その他のリスク因子を考慮した場合でも、痛風患者は非痛風患者よりも24%もアルツハイマー病の発症率が低かったことが判明したわけです。

尿酸はビタミンCよりも強力な抗酸化物質

痛風の激痛は、血中に過剰に存在する尿酸が結晶化し、それを白血球が攻撃して血管壁に炎症が起こることにより生じます。しかしその一方で、尿酸は健康な人の体内にも普通に存在する抗酸化物質でもあるのです。

さらに、抗酸化物質の代表的な存在として挙げられるビタミンCですが、実は尿酸はこのビタミンCよりもはるかに強力な抗酸化能力を有し、ヒトの血中に最も高濃度で存在する抗酸化物質は尿酸であり、ヒト血清中の抗酸化物質全体の約半分を占めるとも言われています。

また、以前よりこの尿酸の酸化ストレスに対する保護作用が、パーキンソン病などの神経変性疾患の発症に対して保護的に働くという説も提唱されており、今回の調査結果は、この説を支持していると言えます。

これまで尿酸はパーキンソン病の進行予防のための1つの鍵として研究が進められてきたわけですが、もしかすると、より一般的なアルツハイマー病に対する新しい治療法の開発に役立つことがあるかも知れません。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+
このエントリーをはてなブックマークに追加

category : 痛風

このページの先頭へ