iPS細胞で実際の心臓の構造に近い”心臓組織シート”を作製!優れた定着性と心機能改善を確認

現時点において、拡張型心筋症や虚血性心筋症などの重度の心筋症に対する根本的な治療は、心臓移植しかありませんでした。

しかし深刻なドナー不足から、心臓移植以外の有効な治療法の一日も早い確立が求められており、その代表的な次世代の治療法としてiPS細胞による再生医療への期待が高まっていました。

心臓の筋肉や血管などの構造をiPS細胞で再現

今回、京都大iPS細胞研究所の山下潤教授らの研究チームは、ヒトiPS細胞から心筋や血管の細胞がシート状に並んだ「心臓組織シート」を作製し、人工的に心筋梗塞の状態にしたラットの心臓に移植して心機能を改善させることに成功しました。

より具体的には、心筋梗塞状態のラットの心臓にこの「心臓組織シート」を3枚重ねて貼り付けたところ、移植後1ヶ月でラットの心機能は約1.6倍に改善され、2ヶ月後には心筋梗塞により一旦障害された心機能の回復が認められたのだとか。

また組織学的検査では、移植後1ヶ月後で、9例中4例において移植した細胞の生着が認められました。さらに生着した移植細胞領域内に、宿主ラット自身の心臓から伸長した血管網が形成され、この血流供給により移植後4週にわたる長期生着が実現できたようです。

これまでにもiPS細胞から作製したバラバラの細胞を心臓に直接注入して移植する方法などが試みられていましたが、その定着率が低いことが課題でした。今回の山下潤教授らの研究チームが作製した心臓組織シートには、心筋だけでなく血管の細胞が含まれています。

実際の人体の心臓でも筋肉や血管などが相互に作用しながら機能しており、これに近い構造を実現したことがラット実験での治療効果につながったと考えられています。

製品化して全国どこの病院でも使えるように

まだマウス実験レベルでの研究成果ではありますが、今後さらに研究を進め、よりヒトに近いブタなどを使って有効性や安全性の検討がなされ、最終的には心臓組織シートを製品化して、全国どこの病院でも使えるようにするのが目標なのだとか。

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category : iPS細胞

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