75歳以上の高齢者の降圧目標は120mmHg未満にすべき

一般に血圧は加齢とともに上昇することから、高齢者にみられる高血圧は、患者自身のみならず医師も高血圧による様々な弊害や、降圧治療による利益を過小評価しがちです。

また、高齢者の高血圧患者における収縮期血圧の最適な治療目標についても、いまだ意見の一致が得られていないのが現状のようです。

そんな中、高血圧患者 2,636例を、収縮期血圧目標値を120mmHg未満に設定した強化治療群と、140mmHg未満に設定した標準治療群にランダムに分け、その後の心血管疾患の発症やそれによる死亡率を調査した「SPRINT試験」に対して、今回、75歳以上の患者を対象としたサブ解析が実施されました。

約3年に渡る追跡調査の結果は次の通りです。

95.2%で完全な追跡データが得られ、追跡期間3.14年(中央値)における主要複合評価項目の到達率は強化治療群では標準治療群と比べ有意に低く、イベント発生件数はそれぞれ102件と148件であった〔ハザード比(HR)0.66、95%CI 0.51~0.85、P=0.001〕。全死亡に関しても、それぞれ73件と107件で、死亡率は強化治療群で有意に低かった(同0.67、0.49~0.91、P=0.009)。

つまり、120mmHg未満を目標とする強化治療群は、標準治療群と比べて、心筋梗塞や脳卒中などの主要な心血管イベントの発生率が34%低く、それによる死亡率も33%低いことがわかったのです。

その一方で、低血圧や失神、急性腎損傷、外傷を伴う転倒など、治療による有害事象の発生率は、強化治療群と標準治療群の間に有意差がないことも確認されました。

今後さらなる研究によって、強化治療による予想外の有害事象などが見つからない限り、75歳以上の高齢者における治療目標が大きく変更される可能性がでてきたと言えますね。

但し、今回の「SPRINT試験」で用いられた血圧値は、医師や医療従事者不在の下で自動血圧計により測定された数値であり、収縮期血圧120mmHg未満という厳格な降圧目標を、そのまま日本の診察室血圧に当てはめた場合、過剰降圧をきたす恐れがあるので注意が必要との指摘もあります。

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category : 高血圧症

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