iPS細胞で脳から脊髄のあらゆる神経細胞を作製する技術開発

認知症全体の4~6割を占めるとも言われているアルツハイマー病は、大脳皮質にあるニューロンと呼ばれる神経細胞が障害を受け、記憶障害などを引き起こします。また、同じ神経疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄運動ニューロンが障害を受けることにより、運動障害や筋力低下などを引き起こすとされています。

残念ながら、現時点ではこれらの神経疾患に対する根本的治療法はなく、ヒトES細胞やiPS細胞を用いた研究が世界的に進められている状況ですが、これまでの研究では、脳や脊髄の特定の部位ごとに、これらの細胞から全く異なる手法を用いて作製することしかできませんでした。

つまり、ES細胞やiPS細胞を用いて、脳や脊髄の特定部位の神経細胞を作製し、症状を再現することは可能だったのですが、それが別手法で作製された細胞であることから、異なる部位での症状を比較する研究は難しかったわけです。

iPS細胞で神経難病の症状を再現する精度向上

そんな中、慶応義塾大学と順天堂大学の研究グループは、共通の作成法を用いてヒトiPS細胞から前脳から脊髄に至るあらゆる脳領域の神経細胞を選択的に作り分けることができる技術を開発しました。

実際、研究グループは同技術を用いて、アルツハイマー病と筋萎縮性側索硬化症(ALS)において、脳や脊髄の特定部位の神経細胞で生じる症状を、同疾患患者のiPS細胞から作製した神経細胞を用いて、試験管内で再現することにも成功したのだとか。

今回の研究成果によって、特にアルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症など、脳の複数の領域にまたがる神経難病において、iPS細胞を利用した研究の精度が飛躍的に向上する可能性があり、新しい治療法の開発に繋がることなどが期待されています。

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category : iPS細胞

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