ナノファイバーとiPS細胞で実際の心臓に近い立体的な心筋組織の作製に成功

ヒトiPS細胞から作製した心筋細胞を、手術用の縫合糸に使用されている微細繊維“ ナノファイバー ”と一緒に培養することで、実際の心臓の筋肉である心筋により近い立体的な心筋組織を作ることに世界で初めて成功しました。

京都大特定准教授らの研究チームによる成果で、この心筋組織シートを心筋梗塞のラットに移植したところ、心臓機能の改善も確認できたのだとか。

心筋梗塞など虚血性心疾患に対する根本治療は、これまで心臓移植しかありませんでしたが、iPS細胞が登場して以来、再生医療への期待が日に日に高まっていました。

これまでにもiPS細胞から心筋細胞を作製し、それをシート状にして移植する研究が進んでいましたが、単に心筋細胞を培養するだけでは、細胞の並び方が不揃いになり、実際の心臓に近い厚みや収縮力を持たせることは難しかったのだとか。

今回、研究チームは手術用の縫合糸と同じ成分のナノファイバーを開発し、これをヒトiPS細胞から作製した心筋細胞と一緒に培養することで、実際の心臓に近い立体的な心筋組織を作ることに世界で初めて成功しました。

より具体的には、直径 0.001mmほどのナノファイバーを綺麗に並べた中で、ヒトiPS細胞から作製した心筋細胞を培養したところ、細胞がナノファイバーに沿って成長し、細胞の向きがそろった収縮力の強い立体的な心筋組織になったのだとか。

これを厚さ0.2mm、縦横1cmのシート状に加工した上で、心筋梗塞を起こしたラットに移植したところ、シートは厚さ0.5mmまで成長して心臓の機能が改善。しかも4週間後にはナノファイバーは消失し、心筋シートが心臓と一体化していることを確認しました。

今回の研究成果により、実際の心臓に近い機能で、しかも取り扱いが容易な心筋組織を治療に使うことができれば、従来の心臓移植に代わる次世代の心臓病治療に繋がる可能性があると期待されています。

  1. 手術用の縫合糸に使われる細い繊維(ナノファイバー)を土台にして、iPS細胞から作製した心筋細胞を培養
  2. すると細胞の向きがそろい、収縮力の強い実際の心臓に近い立体的な心筋細胞組織の作製に世界で初めて成功
  3. これを心筋梗塞ラットに移植したところ、心機能の改善を確認。さらに4週間後にはナノファイバーが消失し、移植した心筋組織が心臓と一体化していました。
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category : iPS細胞

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