筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行抑制物質を患者iPS細胞で特定!白血病の治療薬が有効

全身の筋肉が次第に衰えていく難病、“ 筋萎縮性側索硬化症ALS) ”について、京都大iPS細胞研究所の井上治久教授らの研究チームは、患者の皮膚から作製したiPS細胞を使って、ALSに対する新しい治療薬の開発に繋がる有力な候補物質を突き止めたと発表しました。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脊髄にある運動神経に次々と細胞死が起きることで全身の筋力が低下し、やがて歩行や呼吸にまで困難な障害が生じる病気で、現時点で原因や詳しい仕組みはわかっていません。

50歳以上の発症が多く、国内の患者数は約9千人以上にも及ぶとされ、そのうちの約5%は血縁者に患者がいる家族性ALSで、今回の研究でも、家族性ALSの患者の皮膚から作製したiPS細胞が使われたのだとか。

研究チームは、まずALS患者の皮膚から作製したiPS細胞を運動神経細胞に誘導して、これを健康な人から作った神経細胞と比べたところ、異常なタンパク質が蓄積した細胞死が起こりやすくなっていることを発見しました。

そこで、この細胞死を抑える薬を見つけるため、このiPS細胞から作製した運動神経細胞を使って、既存の処方薬など 1,416種類の化合物について調べたところ、そのうちの 27種類で細胞死を強く抑制することを確認しました。

さらに、このうち慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」が有効であることを発見し、実際に遺伝子を組み換えてALSにしたマウス26匹に投与したところ、対象のマウス群に比べてALSの発症を約11日遅らすことができ、生存期間も約8日延ばす効果が確認されました。

これらはまだマウス実験レベルの研究成果で、投与する濃度や副作用、安全性など詳しく調べる必要があり、研究チームによると10年以内の実用化を目指されているとのことです。

すぐにALSの治療に使用できるわけではありませんが、いまだ有効な治療法のない難病“ 筋萎縮性側索硬化症 ”の克服に近づく大きな一歩であると関係者から大きな期待が寄せられています。

  1. 難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」に対する治療薬に繋がる有力な候補物質を特定
  2. 既存の白血病治療薬「ボスチニブ」が有効であることをマウス実験で確認
  3. 10年以内の実用化を目指す
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category : iPS細胞

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