ノーベル賞の抗寄生虫薬「イベルメクチン」が胆管がんを抑制

九州大などの研究チームは、本年度のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智教授が開発した抗寄生虫薬「イベルメクチン」が、現時点で有効な治療法のない肝がんの一種である胆管がんの治療薬となりうることを突き止めました。

研究グループは、2012年に「MOB1」という遺伝子が、胆管がんの発症を抑制する働きがあることを特定していましたが、今回、マウスの肝臓でこの「MOB1」を欠損させることで、実際に胆管がんを発症することを確認。

また、この胆管がんを発症したマウスの組織に、「YAP1」や細胞増殖の調節に関わる「TGFβ2/3」というタンパク質が増加して活発に働き、がん細胞が増えていることがわかりました。

さらに、この「YAP1」の働きを抑える化合物を調べたところ、抗寄生虫薬「イベルメクチン」が胆管がんの治療に有効であることが判明。実際に、胆管がん患者やMOB1欠損により胆管がんを発症させたマウスに用いることで、腫瘍の縮小が確認できたのだとか。

イベルメクチンの投与量に課題があるけれど…

但し、「イベルメクチン」は本来、細菌を元に開発した抗寄生虫薬で、熱帯地方で流行する河川盲目症などの特効薬です。研究グループによると、これを胆管がんの治療として使うためには、抗寄生虫薬として使うより多くの量を投与する必要があり、今後、安全性の検討が必要なようです。

しかし、その一方で、「YAP1」の働きを抑える薬剤として、今回の「イベルメクチン」以外にも、新規天然物や新規低分子化合物も見出しつつあり、今後胆管がんに効果のある治療薬を単離できる可能性も高いとの見通しも示されています。

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category : がん治療・がん研究全般

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