やはり暗記は朝?学習時刻によって長期記憶の効率に大きな差

勉強や仕事の能率を考えた時、朝の時間帯がいかに重要かを説いた言葉が古くから使われてきました。例えば、以下のような言葉が挙げられます。

  • 「朝は金、昼は銀、夜は銅」
  • 「朝を制する者は受験を制する」

そもそも人間を含む様々な動物は、生体内に存在する体内時計により、睡眠やホルモンの分泌などが制御されています。

これまでにも、1日のうちのどの時刻に学習するかで、記憶のしやすさに違いがあるのではないかと考えられてきましたが、それが体内時計によって制御されているのか、また、実際にどのような仕組みで違いが出てくるのかについてはよく分かっていませんでした。

ところが今回、東京大の研究チームは、記憶をつかさどる脳の部位である「海馬」も体内時計により支配されており、学習する時刻によって記憶のしやすさが大きく異なることを、マウスを使った実験により明らかにしました。

活動時間前半の学習で長期記憶の成績が最高に

研究チームは、マウスに2種類の積み木の形を覚えさせた上で、8分後と24時間後に記憶が残っているかをテストし、その結果を様々な時間帯に学習させて測定しました。ちなみに、8分後は短期記憶を調べるためのもので、24時間後は長期記憶を調べるためのものです。

その結果、短期記憶ではどの時間帯に学習させても、テスト結果に顕著な違いはみられませんでしたが、長期記憶では学習する時刻によって記憶のし易さが大きく異なり、特にマウスの活動時間帯前半の成績が最高に達することがわかりました。

マウスが夜行性のために「活動時間帯前半」と表現されていますが、これを人間に当てはめた場合、朝起きた直後から午前中にかけての学習が長期記憶に残りやすいということになります。

長期記憶は海馬の体内時計に支配されていた

また、体内時計は脳内だけでなく、体内のあらゆる臓器や細胞に存在しますが、脳内にあって長期記憶をつかさどる海馬内の体内時計だけを破壊し、働かなくしたマウスでは、長期記憶できるはずの時刻でも長期記憶ができなくなることを確認。

これにより、長期記憶のリズムは海馬内の体内時計(海馬時計)に支配されていることが明らかになったわけです。

これまでにも、重要なタスクは午前中にこなすべきとの考え方はありましたが、今回の研究成果は、この考え方をさらに一歩進めて、貴重な午前中の時間は、重要なタスクの中でも、特に長期記憶に関わるタスクに重点を置くべきことを示したものと言えますね。

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category : 脳機能

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