糖尿病薬「メトホルミン」をがん治療に活用!免疫細胞を活性化する作用

今年の3月、2型糖尿病の治療薬として世界で最も多く使用されている” メトホルミン ”に、大腸ポリープの再発リスクを防ぐ効果を確認したという報告を取り上げました。

糖尿病薬メトホルミンが大腸ポリープの再発を約4割も抑制

大腸ポリープを切除した患者 151人を対象にメトホルミンを服用させたところ、1年後の大腸ポリープの再発率が4割も少なかったというものです。

この研究は、メトホルミンを服用している糖尿病患者に大腸がんの発症が少ないことに注目したものですが、大腸がんに限らず、メトホルミンを服用中の糖尿病患者のがん発症率や死亡率が低いとの報告が数多く寄せられていました。

メトホルミンに免疫細胞の疲弊を解消する作用

そもそも、がん細胞が体内で増殖してしまうのは、発生したがん細胞を破壊する重要な役割を有する免疫細胞が、がん細胞との長い戦いの末に疲弊し、その多くが細胞死することで、攻撃の手を緩めてしまうことが原因の一つであると考えられています。

そして今回、岡山大と川崎医療福祉大の共同研究チームは、この糖尿病治療薬” メトホルミン ”に、がん細胞を破壊するキラーT細胞の疲弊を解消し、がんを攻撃する機能を回復させる作用があることをマウス実験で突き止めました。

研究チームは、がんを移植したマウスにメトホルミンを与えたところ、キラーT細胞を持つマウスのがんが小さくなったのに対し、これを除いたマウスのがんは小さくなりませんでした。

そこで、メトホルミン服用中のマウスの腫瘍を摘出し、リンパ球を解析したところ、縮小が確認された腫瘍中の免疫細胞の数の増加と機能の回復が著しいことを発見。つまり、メトホルミンに免疫細胞を疲弊から回復し、活性化させる作用があることを確認したのです。

メトホルミンのメリットと今後の展望

現時点ではまだ、あくまでマウス実験レベルでの研究成果ではありますが、メトホルミンには1回30円程度と非常に安価で、副作用も少ないという、患者にとっては大きなメリットがあります。

また、このメトホルミンの作用を、がんペプチドワクチン療法や免疫チェックポイント阻害療法、抗がん剤治療、放射線療法、手術療法など従来のがん治療法と組み合わせることができれば、治療効果のさらなる改善につながる可能性に期待が集まっています。

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category : がん治療・がん研究全般

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