睡眠障害「ナルコプレシー」の症状を抑制する物質の開発に成功

ナルコプレシー」は、場所や状況を選ばず日中の耐えがたい眠気や、感情の高まりなどによって体の筋肉が脱力する脱力発作「カタプレキシー」などに襲われる睡眠障害です。

今回、筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の研究チームにより、このナルコプレシーの症状を抑制する物質が開発され、実際にマウス実験で、覚醒時間の延長脱力発作の抑制体重増加の抑制などの効果が確認されました。

ナルコプレシーは1,000~2,000人に1人の割合で発症するとされ、患者の社会的生活全般に深刻な影響を及ぼす睡眠障害ですが、現時点で根本的な治療法はなく、その治療は薬物による対症療法や生活指導に限られているのが現状です。

このナルコプレシーは、脳内の視床下部に存在し睡眠覚醒を制御するオレキシンを産生する神経細胞の消滅により、オレキシンが欠乏することで生じると考えられています。

実際、マウスの脳内にオレキシンを直接投与することでナルコプレシーの症状が改善されることが確認されていますが、経口や腕などの末梢静脈から投与したのでは、オレキシンが血液脳関門を通過できず、その効果は認められませんでした。

そのため、オレキシンと同じように神経細胞に働きかけ、かつ、経口や末梢静脈からの投与でも血液脳関門を通過して治療効果を発揮する物質の開発が求められていました。

今回、研究グループは、覚醒状態を維持する脳内物質オレキシンと同等の作用を持つオレキシン様の化学物質を探し出し、これに改良を加えることにより、治療薬の候補物質の開発に成功。マウスを使った実験で確認された効果は次の通りです。

正常なマウスに投与する実験を行ったところ、覚醒時間が延長されることが確認された。連日投与した場合は、ナルコレプシー患者に多い体重の増加も抑えられた。筋肉が脱力する発作を人為的に起こしたマウスに投与すると発作が抑制された。

今回の研究成果は、これまで根本的な治療法のなかったナルコプレシーに対する、経口で効く新たな治療薬の開発に繋がるだけでなく、うつ病による過眠症や、薬の副作用による過剰な眠気など、ナルコプレシー以外の睡眠障害を改善する創薬にも繋がると期待されています。

  1. 日中の耐えがたい眠気や脱力発作などに襲われる睡眠障害「ナルコプレシー」の症状を抑制するオレキシン様の物質を開発
  2. 実際にマウス実験で、覚醒時間の延長、脱力発作の抑制、体重増加の抑制などを確認
  3. 将来的には経口で効くナルコプレシーの新たな治療薬のみならず、その他の睡眠障害を改善する創薬にも繋がる可能性あり
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category : 睡眠障害

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