大腸がんの再発や転移を抑制する新化合物「NCB-0846」を開発

先頃、国立がん研究センターにより、2016年に新たにがんと診断される患者数、及び、がんによる死亡者数の統計予測が算出されました。

それによると、2016年にがんと診断されるであろう患者で、最も多いがんの種類は大腸がんで、患者数は実に14万人を超えるとの予測が出ています。

また、がんによる死亡者数予測でも大腸がんは肺がんに次ぐ第2位で、5万人を超える死亡者が出ると予測されています。

2016年にがんと診断される患者数、初の100万人超えの予測

今回、そんな大腸がんの再発や転移を防ぐ可能性のある、新たな物質が開発されました。

大腸がん患者の9割に見られる細胞間の情報伝達変異

そもそも、ヒトをはじめとする多細胞生物を構成する細胞同士は、「Wnt(ウィント)」と呼ばれるタンパク質をやり取りすることにより、様々な情報を伝達しています。

このWntタンパク質によって伝えられる情報は「Wntシグナル(ウィントシグナル)と呼ばれ、あらゆる組織が形成される上で必要不可欠な情報です。しかし、その伝達経路に異変が生じ、このWntシグナルが過剰に伝わりすぎると、がん細胞やその元となるがん幹細胞の発生や増殖を引き起こすことがわかっていました。

実際、大腸がん患者の90%以上は、このWntシグナルの伝達経路に変異が認められています。

Wntシグナルの異常に関与する酵素を発見!その働きを抑制する新化合物の作成にも成功

そして今回、国立がん研究センター、理化学研究所、カルナバイオサイエンスによる研究チームは、このWntシグナルの伝達経路の異常に強く関与している酵素「TNIK」を発見。さらに、この酵素の働きを妨げることで、がん細胞の増殖を抑える新たな化合物「NCB-0846」を作ることに成功しました。

研究チームは、ヒトの大腸がんの細胞を移植したマウスに、この新化合物「NCB-0846」を投与したところ、腫瘍の拡大を8~9割抑えることを確認。

特に、大腸がん肝細胞は新たに腫瘍を作る能力が高く、たとえ細胞1個からでも腫瘍を再構築することができますが、新化合物「NCB-0846」の投与により、この腫瘍を新たに作る能力を大幅に抑制することがわかったのです。

研究チームによると、従来の抗がん剤が効きにくく、再発や転移しやすいがん幹細胞に対する、新たな抗がん剤として実用化を目指し、1~2年後には臨床試験に入る予定なのだとか。

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category : がん治療・がん研究全般

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