免疫抑制の仕組みを近赤外線で叩いて免疫活性化!がん縮小を確認

ヒトの免疫系には、体内に侵入した異物を認識し排除するだけでなく、自己に対する過剰な免疫反応を抑制するための仕組みが備わっており、” 制御性T細胞 ”は、この免疫を制御する仕組みの一つです。

この” 制御性T細胞 ”は、過剰な免疫反応を抑制するだけでなく、がん細胞に対する免疫反応、つまり免疫細胞によるがん細胞への攻撃も抑えてしまうので、その働きが強いと、がんが治りにくくなったり、進行しやすくなることがわかっていました。

がん細胞を守る”制御性T細胞”を破壊して免疫を活性化

今回、米国立衛生研究所の小林久隆主任研究員は名古屋大学との共同研究で、免疫の攻撃からがん細胞を守っている” 制御性T細胞 ”を近赤外線を当てて破壊し、それにより活性化した免疫でがんを縮小させることにマウス実験で成功しました。

研究チームは、近赤外線を当てると局所的に発熱する特殊な化学物質を、制御性T細胞と結合する抗体と結合させた薬を作り、この薬剤を肺がんや大腸がん、甲状腺がんなどを移植したマウスに注射。

その後、患部に近赤外線を照射し、化学物質の発熱によってがん周囲の制御性T細胞を死滅させたところ、がん細胞は活性化した免疫細胞による攻撃から逃れられなくなり、がんを大幅に縮小させることに成功しました。

さらに、近赤外線を当てていない部位のがんの縮小も確認されたことから、活性化した免疫細胞は体内で移動すると見られ、転移したがんの治療にも効果が期待できることがわかりました。

3年以内にも新たな治験へ

今回開発された手法は、がん細胞そのものがターゲットではなく、がん細胞への攻撃を抑制している因子を排除して、免疫の活性化を図るというものですが、研究チームは、近赤外線による熱でがん細胞を直接叩く「光免疫療法」と呼ばれるがん治療法の治験をすでに米国内で進めています。

研究チームによると、3年以内にも新たな治験を始めたいとしており、今回の治療法が実用化されれば、より高い治療効果が期待できると注目されています。

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category : がん治療・がん研究全般

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