尿1滴で高精度ながん検診が可能に!線虫の習性利用で

がん患者の尿や呼気には、特有の匂いがあることが知られており、これまでにも、その匂いを嗅ぎ分けることができる”がん探知犬”を使った診断手法が研究されていました。

しかし、診断精度がどうしても犬の集中力に左右されてしまうため、1日に調べることのできる検体数が限られてしまう上に、探知犬の育成には時間がかかることなどから、その実用化は困難な状況にあるようです。

嗅覚の優れた”線虫”の習性を利用

今回、九州大の広津崇亮助教などの研究チームは、犬と同程度の嗅覚を持つとされる体長1ミリほどの”線虫”を使って、がんの有無をたった1滴の尿から高い精度で判別することに成功しました。

この線虫は、好きな匂いに集まり、嫌いな匂いから逃げる習性があることが知られていましたが、今回の研究で、線虫ががん細胞に特有の分泌物の匂いに集まり、逆に健常者の尿からは逃げることが判明したのだとか。具体的な実験とその結果は次の通りです。

研究チームは健常者218人、がん患者24人の尿を採取。実験皿の上に1滴ずつ垂らし、線虫の走性行動を調べた結果、健常者207人と、がん患者23人を正しく判定した。がん患者をがんと診断できる確率は95.8%に達し、がんの種類や進行度にかかわらず判別できた。

血液を調べる腫瘍マーカーで、同じ患者らを検査した結果は16.2~25%だった。がん患者24人のうち5人は、採尿時にはがんが見つかっておらず…

テストをした数十種類のがん全てに反応を示しただけでなく、従来のがん検診では見つからなかった早期のがんも判別できる可能性が高いことも判明。逆に、健常者をがん患者と誤診せず、きちんと健常者と診断できる確立も95.0%と高かったようです。

今後の展望について

研究チームによると、実用化までにはまだ10年程度必要とのことですが、この技術が実用化されれば、尿1滴でさまざまな種類の早期がんを数百円程度の検査費用で、かつ高精度で検出することが可能になります。

今後は、診断精度のさらなる向上を図るのみならず、がんの有無だけでなく種類まで特定できるような技術の開発も進めているのだとか。さらなる研究に期待しましょう。

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category : がん治療・がん研究全般

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