高周波ホットバルーンを使った心房細動の最新治療がスタート

2013年より全国17の医療施設で臨床試験を積み重ね、今月1日にようやく保険適用されたばかりの心房細動の最新治療法が、全国の医療機関に先がけて筑波大附属病院で始まりました。今回、3人の患者に対して実施され、その経過はいずれも良好のようです。

「高周波ホットバルーン」という新開発の器具を使った、この最新治療法の概要について触れる前に、まずは心房細動について簡単に見ていくことにしましょう。

心房細動について

不整脈の一種である心房細動は、正常であれば安静時に1分間で60~100回、規則的に収縮と拡張を繰り返す心臓が、1分間で300回以上も不規則に動いてしまう病気です。心臓の一部である心房が、まるで震えているように細かく動くため「心房細動」と呼ばれています。

心房細動は年齢が上がるにつれて発症率が高くなるため、高齢化社会を迎えている我が国においては、その患者数は年々増加しており、1980年には約40万人程度であった患者数が、現在は100万人以上にも上ると推定されています。

心不全や脳梗塞などの重篤な病の引き金に

心房細動の主な症状としては、動悸や息切れをはじめ、階段や坂を上るのがきつい、疲れやすいなどが見られますが、心房細動自体は、直接命にかかわる病気ではありません。

ところが、心拍数の高い状態が長く続くことで、心臓の収縮機能が次第に低下し、やがて心不全を引き起こすリスクが高まる他、心房細動中は心房の収縮が不規則になるため、心房の中の血液の流れに淀みが生じ、血栓と呼ばれる血の塊ができやすくなります。

そして、この血栓が血流に乗って身体の他の部位に運ばれ、血管を詰まらせると様々な重篤な症状を引き起こします。特に、脳の血管を詰まらせた場合に生じるのが脳梗塞で、脳梗塞の約30%は心房細動に原因があるとされているほどです。

心房細動の既存の治療法「カテーテル心筋焼灼術」について

心房細動の原因の多くは、血液を肺から心臓へ流す肺静脈に発生した異常な電気信号が、心房にまで伝わってしまい、心房が誤作動を起こすためと考えられています。

そこで、脚の付け根などの太い血管にカテーテルを挿入して心臓まで通し、心房と肺静脈の接続部分を高周波で焼くことによって、肺静脈からの異常な電気信号を遮断する「カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)」が用いられてきました。

この治療法は、原則として薬物療法で効果がない場合に広く行われている心房細動の治療法の一つですが、治療に4時間程度かかる上、高い技術が求められるものでした。

「高周波ホットバルーン」を用いた新しい治療法のメリット

今回、カテーテルの先に柔らかい素材の風船を付け、心房と肺静脈の接続部に押し当てた後、風船の中の水を高周波で熱し、接続部の組織を変性させることで異常な電気信号を遮断するという、「高周波ホットバルーン」と呼ばれる新開発の器具を使った、新しい治療法が筑波大附属病院で始まりました。

この治療法は、前述の「カテーテル心筋焼灼術」と比較すると、技術的に簡単で、治療時間も2時間半程度と、大幅に短縮することが可能なのだとか。この新しい治療法が広がれば、患者の早期治療が可能となり、心房細動を原因とする脳梗塞の予防にも繋がると期待されています。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+
このエントリーをはてなブックマークに追加

category : トピックス

このページの先頭へ