起立性低血圧の高齢者はエコノミークラス症候群リスク1.7倍

つい1ヶ月ほど前、熊本地震の被災者に危惧されているエコノミークラス症候群に関する最新のトピックスの中で、エコノミークラス症候群の発症リスクが高い人の特徴について取り上げました。

今回の震災を受けて、日本血栓止血学会が発表した緊急提言に沿ってご紹介したものですが、ここで今一度、引用しておくことにします。

  • 車中泊をしている
  • 高齢者
  • 肥満
  • 妊娠中、出産後まもない
  • 最近手術を受けたばかり
  • 外傷や骨折で治療中
  • 上下肢に麻痺がある
  • がんの治療中
  • 自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデスや慢性関節リウマチなど)
  • 経口避妊薬やホルモン補充療法薬の服用中
  • 心臓や肺の機能が低下している
  • 自身や家族が過去に肺塞栓症や深部静脈血栓にかかったことがある
  • 遺伝的や体質的に血液が固まりやすい

これらの項目に一つでも該当する場合は、エコノミークラス症候群の発症リスクが上がっている状況であることを意味しています。

もしもご自身が該当する場合は、まずはそのことをしっかりと自覚することが大切です。また、ご家族が該当している場合は、特に高齢者は少々の不調は我慢してしまうことが少なくないので、周りの人が日頃から注意深く見守り、初期症状を見逃さないようにすることが重要です。

起立性低血圧もエコノミークラス症候群と関連している可能性

そして今回、高齢者の起立性低血圧症がエコノミークラス症候群の発症リスクに関連している可能性を示す、最新の研究結果が報告されました。

起立性低血圧症とは、寝た状態や座った状態から急に立ち上がった時に血圧が過度に下がってしまう異常で、それによりめまいやふらつき、動悸、視野のかすみや目の前が急に暗くなったり、時には失神などを伴います。

急に立ち上がった時、重力の影響でどうしても血液が体の下部へ降りてくるのですが、これを脳に送り込むべき自律神経系の働きが鈍い場合、静脈にうっ血してしまい、一時的に脳が虚血状態になることで起こると考えられています。

このように起立性低血圧症は静脈のうっ血を引き起こす可能性があり、その一方で、静脈のうっ血はエコノミークラス症候群の危険因子とされています。しかし、これまでの研究では、起立性低血圧症とエコノミークラス症候群発症との関連性は明らかではありませんでした。

対象年齢の異なる2つの大規模調査のデータを解析した結果

そこで米ミネソタ大の研究グループは、65歳以上の5,027例を対象とした調査と、45~64歳の12,480例を対象とした調査の、2つの大規模調査研究によって得られたデータを用いて、起立性低血圧症とエコノミークラス症候群発症との関係を分析しました。

その結果、65歳以上の高齢者を対象とした調査において、起立性低血圧症を有している人は、そうでない人に比べて 1.74倍もエコノミークラス症候群を発症するリスクが高いことがわかったのです。

その一方で、参加者の年齢が45~64歳とより若い層の調査においては、起立性低血圧症とエコノミークラス症候群との間に関連性は見られませんでした。

以上の研究成果をふまえて、たとえ冒頭で挙げたエコノミークラス症候群のリスク因子に該当しない場合であっても、急に立ち上がった時にめまいがしたり、ふらつきや動悸を覚えたりすることのある高齢者は、エコノミークラス症候群の発症リスクが高くなっていることを自覚しておいた方が良いかも知れません。

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category : トピックス

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