高LDLコレステロール血症の新治療薬が日本初承認

第一選択薬スタチンの有効性と限界

スタチンは、”悪玉コレステロール”と呼ばれる血中のLDLコレステロールを細胞内に取り込む働きをするLDL受容体を増やすことによって、結果的に血中LDLコレステロール値を低下させる薬で、その有効性は広く認められており、現時点で高LDLコレステロール血症治療の第一選択薬です。

ところが、LDLコレステロール値が非常に高い場合、また、特に冠動脈疾患などの既往歴があり、一般的な基準値よりも低いLDLコレステロール値に抑えることが推奨されている患者の場合など、スタチンのみを使った治療では、目標とすべき数値にまで抑えることが難しいケースが少なくありませんでした。

そのような患者には、重篤な副作用リスクのある高用量スタチン療法や、スタチンだけでなく他の薬剤を併用するなどの治療が試みられますが、実際には推奨値を達成することは、なかなかに難しいようです。

その意味で、副作用が少なく、より効果的にLDLコレステロールを引き下げることのできる、スタチンとは異なる機序の新薬の開発が待たれていました。

LDLコレステロール代謝に関わる新たな標的

そんな中、高コレステロール血症に対する治療の新しい標的として、昨今注目を集めているのは、前述したLDL受容体の分解を促進する働きがあることが判明した、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型( ”PCSK9” )です。

つまり、この ”PCSK9” の機能を阻害することができれば、LDL受容体が分解されることを未然に防ぎ、血中のLDLコレステロールが効率良く細胞内に取り込まれ、結果としてスタチンとは異なる機序によりLDLコレステロール値を引き下げることが可能ではないかと考えられています。

国内初の”PCSK9阻害薬”承認

これまで、いくつかの ”PCSK9阻害薬” が開発され、臨床試験に進んでいましたが、今回、アステラス製薬は、国内初の ”PCSK9阻害薬” となる、高コレステロール血症治療薬エボロクマブ(商品名レパーサ)が承認されたことを発表しました。

アステラス製薬によると、国内で実施された最終段階の臨床試験の結果、本薬とアトルバスタチンとの併用で12週までにLDLコレステロール値が 67~76%低下したとの好成績が得られたのだとか。

同薬は既に欧州や米国、カナダで承認されており、成人患者に対しては通常140mgを2週間に1回、420mgを4週間に1回、皮下投与する薬で、スタチンとの併用療法を行うことが使用上の注意として明記されています。

また、今回承認されたのは、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクが高い人で、スタチンでは十分にLDLコレステロール値を下げることができなかった患者への使用に限定されています。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+
このエントリーをはてなブックマークに追加

category : 脂質異常症

このページの先頭へ