変異遺伝子をもつ難治性がんの転移を抑える化合物を発見

つい先日は、大腸がんの転移にブレーキをかけるタンパク質が特定されたというトピックスを取り上げたばかりですが、今回、がん全体の3分の1を占めるとも言われている、変異したがん遺伝子をもつ難治性がんの転移に重要な役割を果たしているタンパク質が特定されました

さらに、この研究成果を発表した九州大や東京大、理化学研究所などの研究チームは、約20万種の化合物の中から、このタンパク質の活動を抑制する化合物を探し出すことにも成功したのだとか。

ほとんどの膵臓がんや約半数の大腸がんには、変異したがん遺伝子が見られ、現時点では有効な治療薬が開発されておらず、” 難治性がん ”とされています。

これまでの研究により、変異したがん遺伝子をもつがんの増殖や転移には、細胞の形態変化を促す分子「RAC」の活性化が原因であることは分かっていました。

ところが、この「RAC」を直接コントロールする薬剤の開発は難しく、RACを活性化させる物質を見つけ出すことが課題でした。

研究チームは、RACに関係している様々な物質のうち、「DOCK1」というタンパク質に注目し、遺伝子操作によりDOCK1の発現を抑制したところ、がん細胞の周辺組織への浸潤や栄養源の取り込み活動が低下し、がん細胞の生存率が落ちることを確認しました。

そこで研究チームは、このタンパク質「DOCK1」の活動を抑えれば、RACの活性化を防げると考え、約20万種の化合物の中から、DOCK1の活動を阻害する化合物「TBOPP」を探し出すことに成功。

実際、この化合物「TBOPP」を、がん細胞を移植したマウスに投与したところ、がんの転移や増殖が顕著に抑えられることを確認。しかも、TBOPP投与による副作用は確認されなかったようです。

今回の研究成果は、現時点では有効な治療薬のない難治性がんに対して、効果的かつ安全な抗がん剤の開発に繋がると期待されています。研究チームによると、数年内の新薬開発を目指しているとのことです。

  1. 変異したがん遺伝子をもつ難治性がんの転移に重要な役割を果たしているタンパク質を特定
  2. このタンパク質「DOCK1」の活動を抑制する化合物を探し出すことにも成功
  3. 数年内にも、難治性がんに対する効果的かつ安全な新薬開発を目指す
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category : がん治療・がん研究全般

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