ヒトiPS細胞から硝子軟骨の作製に成功!軟骨損傷の再生治療が大きく前進

軟骨損傷とは?

膝やひじなどの関節の軟骨組織が、事故やスポーツなどによって外力が加わることにより損傷してしまったり、加齢によって長い年月をかけて磨り減ってしまうことを軟骨損傷と言います。

関節をスムーズに動かすことができるのは、ひとえに骨の表面に存在するこの関節軟骨が衝撃を吸収しているからに他なりません。

そのクッションとなる関節軟骨が損傷したり摩耗してしまうと、炎症を伴うことで痛みや腫れが起こったり、関節に水がたまる関節水腫を生じる場合も…それにより患者さんの生活の質は大きく損なわれてしまいます。

硝子軟骨と線維軟骨について

また、軟骨は主として硝子軟骨と線維軟骨に分けられますが、関節の表面を覆っているのはクッション性と対摩耗性に優れた硝子軟骨です。ところが、この硝子軟骨は自己修復が非常に難しく、一度損傷するとクッション性と対摩耗性に劣る線維軟骨にどんどん置き換わってしまうのです。

現在では、自分の健康な軟骨を採取して培養し、それを損傷部に自家移植するという外科的治療法などもあるようですが、培養中に変質してしまうことも多く、再生される軟骨は硝子軟骨ではなく線維軟骨が中心で、残念ながら移植の効果が長期的に持続しないことも少なくありません。

iPS細胞から硝子軟骨の作製に成功!

今回、京都大iPS細胞研究所の妻木範行教授らの研究グループは、ヒトのiPS細胞に3種類のたんぱく質を加えることで、正常な軟骨組織に誘導し、それを培養皿に浮かせて立体的に培養しました。

さらに、この培養によって得られた軟骨組織の塊を、マウスやラット、ミニブタに移植することで、前述したクッション性と対摩耗性に優れた硝子軟骨を作製することに成功したのだとか。

作製された軟骨組織の塊をマウスやラットの損傷した膝に移植すると、支障なく患部に生着した。より関節に負担がかかるミニブタ(体重約30キロ)でも、移植後1カ月で患部に生着して体重を支えた。

研究グループは今後、安全性と有効性を十分に検証した上で、2019年をめどに臨床試験実施を目指しているそうです。内科的治療、外科的治療を含めて、これまでの治療法では難しかった軟骨損傷の根治ですが、iPS細胞を利用することでそれが可能となる日もそう遠くないかも知れません。

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category : iPS細胞

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