”袖の上からカフ”では正確な血圧値は得られないことが判明

従来、血圧測定をする場合には、上着を脱いでしまうか、袖を”肩まで”まくりあげて裸腕の状態で行うべきとされています。ところが、実際は時間的・手間的な理由により、上着の袖の上からカフを巻いたり、袖をまくり上げる場合でも、ヒジまでしかまくり上げない場合が多いのではないでしょうか。

これによる測定値の誤差が実際どの程度生じるかは、実はこれまで十分に検討されていませんでした。今回、筑波大学附属病院の研究チームにより、同病院の外来を受診した患者と、近郊にある介護老人保健施設のデイサービス利用者200人を対象に、以下の3通りの方法で血圧を測定し、測定方法の違いによる測定値の誤差が分析されました。

  1. 着衣を脱いで裸腕での測定(裸腕法
  2. 着衣の袖の上からカフを巻いて測定(袖法
  3. 袖をヒジまでまくり上げて測定(袖まくり法

測定は各法とも3回ずつ、合計9回行われ、各測定方法での3回の平均値をその測定法における測定値とされました。また、着衣の違いによる誤差を考慮して、着衣は研究チームが用意したウール70%の長袖カーディガンに統一し、さらにカーディガンの着脱や血圧測定の実施順についても、影響が出ないように考慮されたようです。その気になる調査結果は次の通り。

その結果、袖法、袖まくり法のどちらも、裸腕法より血圧測定値が有意に高値となることが判明。収縮期血圧は裸腕法での平均測定値が128.7mmHgなのに対し、袖法では132.5mmHgと有意に高く、袖まくり法でも133.1mmHgと裸腕法より高くなった(いずれもP<0.001)。拡張期血圧でも結果は同様で、裸腕法の平均測定値(68.0mmHg)を袖法(73.0mmHg)、袖まくり法(74.8mmHg)が有意に上回った(いずれもP<0.001)。

正確な血圧値を測定したい場合は裸腕で!

つまり、血圧測定時に着衣の長袖の上からカフを直接巻いたり、袖をまくり上げる場合でも、ひじの高さにまでしかまくり上げない状態でカフを巻いて測定した場合、着衣を脱いだ状態で裸腕にカフを巻いて測定した場合に比べると、平均して約4mmHgも高く測定されることが分かったのです。

臨床的に許容できる測定誤差とされる、±4mmHg以内の範囲に収まった被験者の割合は、袖の上からカフを巻いた場合で 33.5%、袖をヒジまでまくり上げた場合で26.0%だったのだとか。

すなわち、長袖の着衣の袖を伸ばしたまま、あるいはヒジの高さにまでしかまくり上げずに行った血圧測定では、実は3割程度の人でしか正確な血圧値が得られていないことが判明したのです。

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category : 医療機器

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