尿検査だけで乳がんと大腸がんを判別する世界初の技術を開発

現在、一般的に実施されているがん検査は、血液を採取して行うのが主流で、医療機関での実施が必須となっています。また、全身のがんを一度に検査する技術がないため、がんの部位ごとに異なる検査をしなければならず、受診者にとっては時間的にも経済的にも大きな負担が強いられてるのが現状です。

がんは早期に発見し、早期に治療を開始することが何よりも重要であることが周知されているにもかかわらず、がん検診の受診率がおおむね3割から5割程度にとどまっているのも、このようながん検査をとりまく状況によると考えられています。

尿の老廃物から「がん」を見つけ出すことに成功

そんな中、日立製作所と住友商事の研究チームは、受診者にとってより負担の少ない尿検査により、乳がんや大腸がんにかかっているかを判別できる、世界初の基礎技術の開発に成功しました

尿は血液中の老廃物を体外に排出するという役割を持っています。老廃物とは体中の細胞が栄養素を利用した際に発生する様々な代謝物で、生体内に存在する代謝物の種類や量は、健康状態によって変動することが知られていました。

そこで研究チームは、乳がん患者、大腸がん患者と健常者、各15人の尿を調べ、尿に含まれる1,300種類以上の老廃物(代謝物)を解析したところ、乳がんと大腸がん患者それぞれで特定の老廃物が増減していることがわかりました。

さらに、がん患者で増減が確認された数百種類の物質について精査を重ねた結果、がんと判定するために必要な特定物質(バイオマーカー)を10種類にまで絞り込むことに成功。健常者とがん患者を判別するだけでなく、バイオマーカーの含有量の違いにより、乳がんと大腸がんも明確に判別できることも確認されました。

現時点で判別できるがんの種類は、乳がんと大腸がんだけですが、今後さらにバイオマーカー候補物質の構造解析を行うことにより、乳がんと大腸がん以外のがんの識別も可能になると期待されています。

新しいスタイルのがん検査やがん検診の確立に道を開く成果

尿検査であれば、これまでがん検査として実施されてきた血液検査やエックス線検査に比べて何より手軽ですので、受診者への身体的・精神的・経済的負担が軽減されることは間違いありません。

また、尿検査の場合、自宅での検体採取も可能となるため、自宅で採取した尿を医療機関や検査機関に送付するといった、新しいスタイルのがん検査やがん検診が確立されれば、受診率の向上、ひいては医療費の低減に繋がる可能性があると言えます。

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category : がん治療・がん研究全般

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